楼都市メモブログ

勉強についての気づきを書いていきます。

AR予備知識~眼について

拡張現実(AR)では、私たちの眼に自然に見えるようにデジタル情報を重畳します。

裏を返せば、人の脳と眼をだますことができればいかにもそれっぽい情報を重畳できる、ということと同じといえます。

そこで、この記事では人の眼の性質について一通りさらっていこうかなと思います。

ひょっとしたら新しいARディスプレイ開発のヒントになるかもしれません。

 

 

人の眼の基本的性質

眼は直径約24~25㎜で、外から入ってくる光は眼球の裏側の網膜に到達します。

入ってくる光の調整には虹彩(カメラでいう絞り)で調節を行い、直径約1~8㎜の範囲で膨張や収縮を行います。

入ってくる光を網膜に焦点を合わせるのには、角膜と水晶体がレンズの役割を担っています。この角膜と水晶体のレンズは約60D(ジオプトリ=焦点距離の逆数)の屈折力を持っていますが、その内訳は角膜が3分の2(約40D)、水晶体が3分の1(約20D)です。角膜と水晶体の大きな違いは、角膜の焦点距離は固定なのに対し、水晶体の焦点距離は可変であるということです。水晶体は固有の20Dに加え、厚みを周辺の筋肉によって変えることで追加の屈折力を得ています。これを水晶体の調節力と呼びます。私たちは水晶体で焦点を調節することで、遠くのものから近くのものまできちんと観察することができます。しかし、老眼(老視)としてよく知られているように、水晶体の調節力は年を取るごとに減っていきます。若い子をは約15~20D、25歳で約10D、50歳では約1Dとなり、60歳ではほぼ0Dとなるといわれています*1

屈折力は以下の式で表現できます*2

 \displaystyle 屈折力(D)=-\frac{物体側の媒質の屈折率}{物体側の焦点距離(m)}=\frac{像側の媒質の屈折率}{像側の焦点距離(m)}

 ここでいう媒質は眼の中にある流体のことで、角膜:1.38、房水:1.34、水晶体:1.38~1.41、硝子体水:1.34とされています。

 ちなみに、角膜と水晶体はともに凸レンズです。このレンズの焦点距離は物体側:約16.7㎜、像側:約22.3㎜となります*3

 

 つづきます。